脳からストレスを消す技術

脳からストレスを消す技術

精神的ストレスの正体は、「神経伝達物質を通して脳が感じるストレス」だった  (30p)

お釈迦様の教え―三つの苦
?痛みのような単純な苦
?快が満たされない苦
?他者に認められない苦     (37p)

「学習脳」はドーパミン神経
「仕事脳」はノルアドレナリン神経
「共感脳」はセロトニン神経    (76p)

セロトニン神経を活性化させると痛みが軽減されるのは、神経が麻痺するからではありません。そのため、痛みがあることははっきりと認知されます。痛みはあるのですが、それほどつらくは感じないですむ、というのがセロトニン神経による痛みの軽減の特徴です  (99〜100p)

実は一つ、大切な働きがセロトニン神経にはないのです。
それは、「免疫系を強める」という働きです。
実は、いくらセロトニン神経を鍛えても、病気に対する抵抗力はまったくつかないのです。   (144p)

涙を流したときは「スッキリ」し、笑った場合は「元気が出る」という違いがある。
普段は笑いで元気を出し、いざというときには号泣して、溜まったストレスを洗い流してしまうというのいい   (165〜166p)

私たち人間には、三つのストレスがありました。
?身体的ストレス
?快が得られなくなるストレス
?自分のしていることが認められないストレス
これら3つのストレスが、前頭前野を構成する「仕事脳」「学習脳」「共感脳」、それぞれと深くかかわっている。
三つの癒しも、三つのストレス、そして脳の働きと深くかかわっていたのです。それは、それぞれのストレスに最も効果的な癒しの特性を当てはめていくとわかります。
仕事のしすぎや、肉体的な疲労といった身体的ストレスを癒すのに最も適しているのは、大脳皮質全体を休める癒し、つまり「寝る」ことです。
快が得られなくなるストレスは、ドーパミン神経の暴走によって生じるストレスなので、暴走を抑制してくれるセロトニン神経を活性化させる「大脳皮質全体を特殊な状態に活性化させる癒し」、つまりリズム運動などの「セロトニンレーニング」が適しています。
そして、自分のしていることが認められないストレスに対しては、相手への共感を高める癒し、つまり共感脳を活性化させる「涙による癒し」が最も効果的です。   (210〜211p)

他者に認められないストレスは、とても大きなものです。
この苦しみを乗り越えるとき、ポイントとなるのは、現実を「ありのまま」にみるということです。
ありのままに見るとは、「自分」と「他者」を取り除いて、事実だけを見るということを指します。「自分がしてあげたのに」とか「あの人のためを思って」という思いが切り離されていれば、その判断がどのようなものでもストレスは発生しません。
そうして自分と切り離してみたときにはじめて、人は相手の立場や相手の思いに、心から「共感」することができるのだと思います。
本当の共感には「自分」も「他者」も存在しません。ただ、同じ感情を共有した状態、それが共感だからです。 (214p) 

人は、一人では生きていけない社会的な生き物です。
そんな人間にとって、二兎のために何かすることが、結局は自分を癒すことにつながるというのは、すばらしい福音だと思います。
他人のために何かをするということは、実は、自分を最も幸せにする方法だったのです。
人のためにすることは自分のためであり、人を幸せにすることは、自分を幸せにすることなのです。
ですから、幸福感を感じられないとあがいている人たちが、一番かんたんに幸せになる方法は、誰かを幸せにしてあげることなのです。
実は、これこそが人間が発達させた「共感脳」の真価なのです。
共感脳は、私たちが悲しんでいる人を見ると悲しみに共感し、苦しんでいる人を見ると、苦しみに共感します。同様に、幸せな人を見ると、共感脳はその幸せに共感し、自分自身を幸せに導いてくれるのです。  (216〜217p)