シンプルに生きる―変哲のないものに喜びをみつけ、味わう

シンプルに生きる―変哲のないものに喜びをみつけ、味わう

人間的な価値や仕事、心の平安、美、自由そして生命あるものを優先させ、ものには重きを置き過ぎない考え方に転換することが必要です。ものをため込むことは、悩みや疲労の本となり、人生を複雑にします。      
ものにとらわれて生きることをやめて、むしろからだに感性を、心に刺激を与え、精神的に豊かに暮らしていきましょう。                (26p)

身のまわりのものは、からだの一部となり、自在に扱えるものに限定しましょう。ものの質や価値は、使うことによって発見していくものです。やみくもに「より良い」ものを求める必要はありません。自分にとってしっくり着て長持ちするもの、そしてその使い途に適したものを求めるべき                 (37p)

美しいものを少しだけ所有するだけでは不十分です。すべてを調和させ、自分らしい、完成されたスタイルを構成させましょう              (43p)

  • それぞれのものは、それぞれの場所に
  • 整理整頓は時間を節約し、記憶力を助ける
  • よい仕事は、清潔で整頓された環境から始まる           (46p)

すまいをすっきりとした状態に保ち、散らかさないためには、収納スペースに見合った量のものしか持たないことが基本原則です。ものの量と収納スペースとのバランスを考えましょう。                          (55p)

「されば、人、死を憎まば、生を愛すべし。存命の喜び、日々に楽しまざらんや」  吉田兼好徒然草
(一日はそれだけで宝の山の価値がある。死を忌み嫌うのであれば、生きることを好むべきである)

◆上手にひと休みする◆
現実から逃げ出さず、ちょっと立ち止まって、自分自身のことを良く考える時間をもつことは、とても大切
休暇をとりましょう。週末旅行をしてみては
出かけるときは、荷物はもちろん少なく、軽く
着替えを一揃えと、歯ブラシ、ペンと手帳だけで充分

「何もしないために、もはや遅すぎるということはない」      孔子      (91-93p)

批判ばかりするひとは、自分に問題がある人です。感情的にどう思っても、人の悪口は言わない、と心に誓いましょう。しばらくすると、習慣として身についてくるでしょう。
自制心をもつことは、周囲との良好な関係を保つために重要です。自分の知識をひけらかしたり、哲学者のように振舞ったりするのはやめましょう。
人は知らないうちに、自分がこうなりたいと思っている人物の役を演じているものです。それが間違った役割であるとも気づかずに。
ひとを説教する前に、自分の行いを正しましょう。そして、けっして見栄を張らないこと。   (150-151p)

おしゃべりはおろかな行為です。相手の言うことに静に耳を傾ける態度は、優雅さと威厳を示し、品格を感じさせ、穏やかなイメージを与えます。
ひとと一緒にいるときは、話しすぎないように注意し、余計な動きを慎むことを心がけましょう。
相手に対して親切な言葉がかけられないときの黄金律は、「なにも言わないことです。自分が相手に敬意と思いやりをもち、相手のことを大切に思って対応していることが伝わればそれでいいのです。
おしゃべりは度を越すとエネルギーを使い果たし、言葉が本来もつ重みを失わせます。
おしゃべりは自己満足につながっています。なぜなら、ほとんどの場合、自分の自慢をするからです。
自分の身の上に怒った不幸について話すのもやめましょう。マイナスの話題は、相手を疲れさせるばかりではなく、結局は自分をも疲れさせるだけ。そこからは、なにも生まれません。                    (154-155p)

許すということは、起こったことを承諾するという意味ではありません。これは、わたしたちの生活をかき乱す対象を拒否するということなのです。自分自身のために許すのです。相手に口実や手段を与えない限り、誰もわたしたちを傷つけることはできません。                         (157p)
まず、自分自身に優しくしましょう。いまよりずっと幸せな気分になれるでしょう。自分自身を、慈しみをこめて扱うようにしましょう。そうすることで、まわりのひとにも同じような接し方ができるようになるでしょう。
自分自身を肯定し、あたりまえに評価してあげることで、多くのストレスから開放されるはずです。                     (158p)

ひとは自分ひとりでは叶えられない幸福を、他人に求めようとします。
けれども、自分を取り巻くできごとに対して、責任があるのは自分だけです。幸せになるためには、他人を当てにしてはいけません。
尊敬すべきは、他人に何も求めない人です。そういうひとは、自分のうちに永遠の可能性を見つけられるでしょう。
どんな理由であれ、他人を変えようとするのはやめましょう。
そんなことをしても、あなたの人生が複雑になるだけです。エネルギーを奪われ、フラストレーションが残るだけです。
他人に影響力をおよぼす唯一の方法は、そのひとにあなたの生き方、態度や考え方を真似してみたい、と思わせることです。
真のひと助けとは、そのひとを自分の頭で考えられるように導いてあげることです。やたらにお膳立てをしたり、仕切ったりといった役割も放棄しましょう。
自分を正当化することで得られる満足感を、まわりのひとに譲りましょう。自分の立場を守ることにばかり気をとられていると、大切なエネルギーがどんどん失われていきます。                         (159-160p)

 

ひとを助けるには、まずは自らがシンプルに生きること。
人生に与えられた宝物を見逃すことなく、喜びを胸いっぱいに満たしてシンプルに生きているあなたが、いかに幸せかを理解してもらうこと。これこそが、あなたが他人にしてあげられる唯一のことです。               (162p)

 

◆心の整理整頓◆
心に秩序をもたらすということは、物を片付けるのと同じで、役に立たない考えを取り除き、より重要な事柄のために、心のなかのスペースを確保することです。
定期的に、心の中から不要なものを取り除くように心がけてみましょう。そうすることによって、悩んだり、ストレスをためてしまったりという行為から、自分を解放することができるようになります。   

☆メンタルなゴミ整理手順
自分の頭に頻繁に浮かんでくる思いをリストアップします。リスト作成は、最新の注意を払いながら、時間をかけて行ってください。
リストが作成できたら、その項目をひとつひとつ、根気強く検討し、じっくりと時間をかけて解決方法を考え、自分の頭から消していきます。
ものの整理も、心の整理も、ちょっとしたことの積み重ねが大切です。
                            (164-165p)

心配事の九割は、実際には起こりません。起こりもしないことを思い悩むのに、時間とエネルギーを使うのはやめましょう。
くよくよ心配ばかりしてストレスをためこむ、というのは心の習慣のひとつに過ぎません。けれども、習慣は心の整理整頓を心がけていくうちに、変えられます。
さらに、ストレスと上手に付き合うために、次のことを心がける

  • よく食べる
  • 体を動かし、酸素を充分に取り入れる
  • 日常にボディケアを楽しみ、自分の体をいたわる
  • 体内時計を守る                    (167-168p)

自分を信じましょう。あこがれや夢を求めて生きていれば、必ず叶うものです。自分に起こることはすべて吉、と信じましょう。
成功は、はじめに心のなかに根を張り、そして具体化されるのです。その順番が逆になることはありません。
豊かさを得るためには、それをまずは頭の中で創り出すこと。「思考」には信じられないほどのパワーが秘められています。誰にでもこの特権は与えられているのですから、ありがたくその恩恵にあずかるべきです。
自分に迷いが出ないようにしましょう。迷いは計画の成就を妨げます。
発想を変えるだけで、運命を変えることさえもできるのです。    (173-174p)

すべてを拒否すれば、シンプルな生活を実践できるようになるわけではありません。憐れみと謙虚さのなかに生きるために、ひとつの共同体に属している必要もありません。世の中に目を向け、幅広い認識を持ち、この世界の広大さと一体になってこそ、その境地に辿り着くことができるのです。
粗食をしているからそれで充分、というものでもありません。より深い思想と、生活流儀を追い求めること、それがシンプルに生きるということです。
シンプルな生き方とは、質素でなんの変哲もないと思えるものの中にも喜びを見出し、味わうことでもあるのです。自分に与えられているものすべてを活用し、自分の滋養とすることなのです。
シンプルに生きることは、物質主義的な世の中に対する自分なりの評価基準を持ち、本来自分に与えられている幸福に気づき、その恩恵にあずかり、お金や時間、そして所有しているものを賢く活用することです。      (179-180p)

避けて通れない不幸は、あきらめと許しの気持ちとともに受け入れましょう。そして、いずれどこかでこれも役に立つこと、と自分に言い聞かせるのです。与えられたときになにをするかを知ることが知恵というもの。避けられないものとの戦いにきっぱり終止符を打つことで、より豊かに生きることができるでしょう。    (182p)